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真紅の花嫁
第8章 紫苑の教師

「亮くんに言われて……
   ひ、姫川綾音は、トイレで
 ……オ、オナ……オナニーしています」


その時、真波はその場所がどこかに気づいた。

化粧ボードに貼られた注意書きや、タンクや便器のデザインでわかる。
朝比奈美術館の女子トイレに間違いなかった。

行為を自撮りすることよりも、真波たちが真剣に働いている職場で、こんなことが行われていた事実に、愕然とした。


「指でアソコをいじってます
   ……気持ちいい
 ……ああん、すごく気持ちいいです」

はしたないセリフを口にしながら、綾音はひとりエッチを続ける。
顔が上気し、瞳がとろんと潤んでいた。

股間をいじくる手の動きは、次第にせわしくなる。
衣擦れの音と共に、ぬちゃ、くちゃ、という恥音までが聞こえてきた。

「う、うぅ……やだ……声が出ちゃう……」

あえぎ声を出すまいと、胸を揉んでいた手で口を塞いだ。
いつ人が来てもおかしくない場所だと意識しているのだ。

背中を丸めて、夢中で股間をまさぐる。
内股にした両脚が、もどかしそうに揺れた。


「……あっ、あっ……ひぅううっ」

上半身がブルッと震え、便器の上で腰が跳ねた。
俯いたまま、数分間、しゃくりあげていた。


映像はそこで終わっていた。


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