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真紅の花嫁
第6章 蜜色の警告

パソコンの電源を落とし、バッグを肩にかける。

「お先に失礼します」
「おや、遅くまでごくろうさま。気をつけて」

夜勤の警備員に挨拶して裏口から出ると、従業員専用の駐車場になる。
真波の丸っこい軽自動車が、一台だけポツンと停めてあった。


歩きかけた時、どこかで人の声がした。

真波は周りを見回した。

駐車場は木立で囲まれている。
背の高い外灯で照らされていても、隅の方はかなり暗い。
声はそちらから聞こえてくるようだった。

ひとりの声ではない。
息をひそめて会話するような、かすかな囁き。


(こんな時間に、誰が……)

もう美術館のスタッフは、全員帰ったはずである。

美術館の敷地内だ。
もし不審者だとすれば、警備員を呼ぶ必要がある。


真波は足を忍ばせて、声のする方に近づいて行った。


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