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真紅の花嫁
第6章 蜜色の警告


胸の鼓動が速さを増し、手のひらに汗がにじんだ。

脳内に、すぐに引き返せ、という警告が鳴り響く。


だが、真波の足はとまらなかった。
頭の芯が熱を持ち、良識がどこかに吹き飛んでしまったかのようだった。

常夜灯の下に、ほっそりした体型の男が、美術館の外壁に背をもたれさせているのが見えた。

ラフなシャツに黒っぽいチノパンの若者。
すぐに亮だとわかった。

その足元に、おしゃれな白いワンピースを着た女がしゃがんでいた。

少年の腰に両手をまわし、首を前後に振っている。


くちゅ、ぬちゅ、ちゅぶ――
女が頭部を動かすたびに、卑猥な音色が夜の空気を震わせる。


女は姫川綾音だった。


うすうす気がついていた。
先ほどの会話を漏れ聞きながら、以前の会議室でのキスシーンを思い出していた。

驚いたのは、そのことではない。

綾音は――

なんと、亮のペニスを口いっぱいに頬張っていたのだ。


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