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 縛師-Ⅰ-告られてから『ごっこ』の終わりまで
第2章  サディスト
 
 「うん。それは嬉しいんだよ。でも言っただろ。俺はサドだからそういうのに上手く応えてやれねーんだよ」

「私が嫌でサドって言ってるんじゃ無ければ一々気にしなくてもいいよ。嫌でなければ……だけど」

「それは違う。断るために言ってんじゃねーし。安井には付き合いをやめるために言ったけどな」

「それで私には付き合う前に教えてくれたってこと?」

「逆に言えば、それでもいいなら付き合うぜってこと」

 あれ!って思った。言ってしまった。

「そうか。なるほど。でもどうなんだろ。もう一つわかんないのは、暴力振るう人には見えないし、リョウの暴力見たこともないんですけど」

 立場が逆転した。
 スズの質問を受けることになった。

「勘違いするなよ。SとDVは違うし俺はDVじゃないぞ。それに中坊のときには『危険人物』って言われてた」

「じゃあ教えてよ。どんなSか知りたい」

「俺もさ、お前のMってところ見てみたい気はあるんだよね。お前のMにその先があるのかどうか知りたい」


 俺はこの性癖を持ち続ける限り、まともな女性とまともな結婚はできないと思っている。
 
 だが女性はどうなんだろう。

 相手に妥協して、普通のセックスで我慢すれば、結婚して子供を育てることができる。

 それで済むMなら、そこで留めるのがいい。

 では、それで済まないM――の子供が成人した後は?
 
 多分抜け殻のような生活だ。

 女はそこでセフレでもさがすのだろうか。

 男は、性欲もなくなり、ただ日々を消化して過ごすのだろうか。


「私、Sって喧嘩や女性を虐めるとか暴力振るうのが好きなんだと思ってたけど。だからリョウはそんなことしないの知ってるし。それで作ったのかなって思ったけどそれもないよね。それに優しいし……優しいS?」
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