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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
「別に、叔父が死んでよかったっていう意味ではないよ? 戦死とかじゃなくてよかったって意味。戦争や討伐で死んでたら、遺体は悲惨な状態になるだろうからね。もしかしたら、その場に放置せざるを得ない状況になるかもしれない。それに、出向いた先で死なれたら、死に目に会えないからね。悲しくはあったけど、看取れてよかったと思ってるよ」
 ラウルの話を聞き、自分の勘違いが恥ずかしくなる。いくらラウルが変わり者だからって、そんな不謹慎なことを考えるはずがないと、反省をする。

「そうそう、さっきの質問だけど、この焼印を知ってるのは、君とオネストだけだよ。彼は僕の世話係だからね」
「他に知ってる人がいるのなら、よかった。うまく言えないけど、そんなに重いものを独りで抱えていたらって思うと、とても悲しいというか……、辛いじゃない? 知ってる人がいても辛いでしょうけど、それでも、理解者は必要だと思うの」
 ラウルは一瞬目を見開いたかと思うと、カミリアを抱きしめた。何故抱きしめられたのか分からずに困惑していると、ラウルの笑い声が聞こえた。

「ありがとう、カミリア。君は本当に強くて優しい女性だ。大好きだよ」
「そういうことは、簡単に言わないでくださいっ!」
 あまりにもストレートな言葉と行動に、顔どころか、身体中が熱くなる。どうしようか考えていると、ラウルの笑い声が鼓膜を震わせる。
「久しぶりに聞いたよ、カミリアの敬語」
「あ……」
 敬語を指摘されただけで、再び羞恥が襲ってくる。恥ずかしいことではないのだが、軽くパニックを起こした頭は、羞恥と捉えてしまう。

「あははっ、顔真っ赤。可愛いね」
「話が終わりなら、部屋に戻る」
 恥ずかしさのあまり立ち上がろうとすると、腕を掴まれてしまう。
「待って。話は終わってないよ」
 カミリアは渋々座り直すと、冷めた紅茶を飲んで深呼吸する。落ち着いてくると、敬語を指摘されただけで恥ずかしくなった自分に呆れ返った。
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