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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第6章 6章 光と影
 食堂には既にサウラが来ていた。彼の向かいには、赤髪の中年男性が座っている。お誕生日席のすぐ近くに座っていることから、彼がノクス王なのだろう。
 ラウルはリュゼからカミリアを開放すると、ノクス王の元へ行く。

「お久しぶりです、ノクス王」
「そんな堅苦しい呼び方はやめてくれ。そんなことより、そちらの女性が噂になってる婚約者か? 俺にも紹介してくれよ」
 ノクス王は鬱陶しそうに手を振ると、カミリアに好奇の目を向けた。その手の目線は苦手で、目を逸らしたくなるが、相手は国王だからと気づかないフリをする。
「えぇ、もちろんです。こちらは僕の婚約者、ソニアです。彼女は外面も内面もとても美しい女性なんですよ」
「お初にお目にかかります、ノクス国王。ソニアと申します」
 カミリアがドレスの裾をつまんで挨拶をすると、ノクス王は目を細めた。

「俺がもう少し若ければ、横取りしていたな。他の男共に取られないよう、気をつけるんだぞ」
「もちろんですよ」
 そう言ってラウルはカミリアの肩を抱き寄せた。どうするのが正解か悩んでいると、サウラが話に加わった。
「イチャつくのは余所でやってくれ。いつまでも立ってないで、座ったらどうだ?」
 サウラに言われ、ノクス王の隣にラウルが座る。その隣に座ると、リュゼがカミリアのドレスを軽く引っ張る。

「やっと座ってくれた。寂しかったんだから」
 拗ねたように言うリュゼがとても可愛くて、頬が緩む。カミリアははやくも食後の時間を楽しみにしていた。もちろん任務のことは忘れていないが、歳が近い同性と話せるのはカミリアにとって貴重な時間だった。

 他の客も集まると、晩餐会が始まる。ラウル、サウラ、ノクス王はラウルが国王になること前提で、両国の未来を語っている。その間、様々な料理やワインが運ばれてくるが、カミリアはほとんど食べられないでいた。
 コルセットで少量しか食べられないというのもあったが、頭がボーッとする。まるで酒でも呑んだかのように、顔が熱くなっていく。
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