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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第2章 騎士団長命令
「カミリア、今大丈夫?」
 それは親友の声だった。心が弾み、入室を許可する。ハーディはワゴンを押して部屋に入ってきた。ワゴンの上にはふたり分のココアと、様々なお菓子をのせたケーキスタンド。
 ハーディはテーブルの上にそれらを置き、カミリアの向かいの席に座った。

「どうしたの、これ……」
「ラウル団長が、「カミリアとお茶してきて」って、お菓子をくれたの。これ、高級店のお菓子よ……。あぁ、それと「ごめんね」って言ってたけど、何があったの?」
「実はね……」
 カミリアは医務室での出来事をかいつまんで話した。話しながら、自分がどれだけ情緒不安定だったのか知り、恥ずかしくなる。

「ハーディに話をして、ようやく冷静になれた気がする……。私、団長に最低なこと言っちゃった……。女性騎士がいると思わなかったって言われて、勘違いしちゃってたっていうか……」
 落ち込むカミリアの手を、ハーディが包み込むように握った。顔を上げると、ハーディは優しい微笑をカミリアに向けている。
「きっとドゥム派とのことがあった直後だから、気が立ってたのよ。さっきは助けてくれてありがとう。カミリアが助けてくれなかったらと思うと、ゾッとするわ……」
 先程のことを思い出したのか、ハーディは自分の肩をさする。

「本当に、ハーディが無事でよかった。にしても、ドゥム派の連中にも困ったものね」
 ため息をつき、マドレーヌを食べる。しっとりしていて食べやすく、ほのかにオレンジの風味がしてとても美味しい。ハーディが時々買ってくるものは、少しパサパサしているが、これならいくつでも食べられそうだ。
「しっとりしてて美味しいね。やっぱり高級品は違うなぁ」
 ハーディもマドレーヌを食べながら、うっとりする。自分だけがそう思っていたわけではないと知り、少しホッとする。
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