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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第2章 騎士団長命令
「ケリー副団長のこと、誤解していました。前回の野盗討伐で、大人数のあいつらを少人数で相手にさせられた時、使い捨ての駒にされていると、噂通りの冷酷な氷の戦乙女だと思っていました。けど、我々を信じてのことだったのですね?」
 ひとりの若手騎士が興奮気味に言うと、他の騎士達も誤解をしていたと打ち明ける。
 騎士達はカミリアに質問したり、次の授業のリクエストをしていく。カミリアは少しドギマギしながらも、彼らの質問に答えたり、リクエストをメモしていく。
 騎士団に入団して6年になるが、初めて彼らと心を通わせることができていると実感する。

 ふと視線を感じてそちらを見ると、微笑を浮かべて見守っているラウルと目が合った。軽く手を振るラウルにどう反応していいのか困り、顔をそらす。
 少し離れたところから、仄暗い目でその様子を見つめる者がいた……。

 それから1週間、カミリアは午前中にラウルとシャムスや騎士団についての話をし、午後は授業をするという生活を送った。カミリアの授業は大好評で、サウラが時間を割いて見学をしに来るほどだった。
 そして7日目の朝。ラウルがふたり分の朝食を持ってくる。3日目までは朝食を終えた後に話をしていたが、一緒に食べたほうが効率がいいということで、4日目からはこうして朝食を共にしている。

「おまたせ、カミリア」
「ありがとうございます」
 朝食を並べてくれるラウルの横顔を見ながら、感慨深いものを感じる。最初は嫌だったファーストネーム呼びも、今ではすっかり定着してしまった。騎士達との距離も、この1週間でだいぶ縮まった。これはカミリアにとって大きな収穫だ。
 男性嫌いではあったが、彼らとの距離感を虚しく思う時が何度もあった。

「さぁ、食べようか。いただきます」
「いただきます」
 ふたりは手を合わせると、紅茶を飲みながら朝食を食べる。カミリアはベーグルを半分食べたところで、紅茶をひと口飲んで小さく息を吐く。7日目の今日、ラウルにどうしても聞きたいことがあった。
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