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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
 いくらカミリアが自分で洗うと言っても、彼女達はカミリアの話を聞こうともしない。泡立てたスポンジで、カミリアの身体を洗っていく。
「まぁ、なんて綺麗なブロンドなんでしょう。きっと夜でもすぐに見つけられるわ」
「大きくて形のいい胸ね。きっと男が放っておかないわ」
「色白だけど、ところどころ傷が目立つわ。終わったらとっておきのお薬を塗りましょうね」
 彼女達はとてもおしゃべりで、カミリアの身体について無遠慮に感想を言う。なんとも言えない羞恥と居心地の悪さに天井を見上げ、はやく終わることを祈った。

 湯浴みが終わると、彼女達はカミリアの髪や身体を拭き、少し青臭いクリームを全身に塗っていく。
「そのクリームは?」
「これはどんな傷にも効くとっておきのお薬。古い傷跡も、これで目立たなくなるわ」
「ちょっとにおうけど、すぐに気にならなくなるはずよ」
 彼女達は簡潔に説明をすると、カミリアにドロワーズを穿かせ、ネグリジェを着せた。カミリアは自分で着ると言ったが、やはり彼女達は聞く耳を持たない。
 夜着を着終えると、今度は髪を念入りに拭かれ、オイルを塗って櫛で何度も丁寧に梳かされる。そんなに丹念にやる必要はないと思いながらも、心地よさにウトウトしてしまう。

 髪の手入れが終わると、ラウルが迎えに来てくれた。
「よく似合ってるよ、可愛い。お腹が空いてるだろう? 僕の部屋で夕食にしよう」
 ラウルに連れられ彼の部屋に行くと、庶民的な食事が並んでいる。てっきり大量のフォークとナイフが並んだ、豪勢な食事が出ると思っていただけに、拍子抜けだ。それが顔に出ていたのか、ラウルが隣でクスクス笑う。

「意外と質素だって思ったでしょ?」
「いえ、そういうわけでは……」
「また敬語。流石にいきなり豪勢な食事が出ると驚くと思って、普通の食事を頼んだんだ。今日ばかりはテーブルマナーとか気にしないで食べて」
 ラウルは椅子を引いてカミリアを座らせると、向かいの席に座った。ラウルに聞きたいことがあるのに、空腹で忘れてしまった。
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