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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
 カミリアは長テーブルの誕生日席に座らされる。向かいの誕生日席にも料理が並べられていることから、そこにラウルが座るのだろう。
(こんなに離れた席で食べるなんて、変なの)
 率直な感想を心の中で呟くと、ラウルが入ってきて向かいに座った。

「おはよう、ソニア。よく眠れたかい?」
「はい、おかげ様で」
「それはよかった。それじゃあ、食べようか」
 そう言ってラウルはナプキンを膝の上に敷いた。カミリアも見様見真似でナプキンを広げるが……。

「ソニア様、ナプキンは広げきった状態で置くのではなく、2つ折りにして、折り目を手前にして置くんですよ」
 すかさずサージュが注意する。カミリアは素直に返事をして言われたとおりにした。この後もサージュはずっと注意をし続け、カミリアは食べた気がしなかった。たくさん並んであるフォークとナイフは外側から使えやら、音を立てるなやら、ひとつの動作をするたびに注意されたため、朝食だけで疲れてしまった。
 チラリとラウルを盗み見ると、彼は優雅な所作で朝食を食べていた。

 朝食を終えて自室に戻ると、ソファに座ってお腹をさする。昨日の夕食はあんなにお腹いっぱいになったというのに、先程の朝食は食べ方に気を使うあまり、料理の味を楽しむ余裕がなかった。そのせいか、少し物足りなく感じる。
「こんな日々が続くなんて……」
 想像するだけでげんなりする。ごはんと食べるたびにあんなに注意をされたのでは、たまったものではない。何時からからかは分からないが、サージュがこの部屋に来て一緒に勉強をしないといけないと思うだけで、気が塞ぎ込んでいく。サージュは悪い人ではないのだろうが、先程の朝食のことを考えると、どうしてもいい印象を抱けない。

「せめて剣を握る時間があればいいんだけど……」
 壁際に立て掛けてあるレイピアとサーベルを横目で見る。色々なことがありすぎて、鍛錬時間の交渉をするのを忘れていたことを後悔する。今からでもラウルに交渉できないかと考えていると、ドアがノックされる。
 もうサージュが来てしまったのかと、ため息をつきたくなるのをグッと堪え、返事をする。
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