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氷の戦乙女は人たらし公爵に溺愛される〜甘く淫らに溶かされて〜
第4章 フェガリ
 自室に戻ると、サージュが笑顔で出迎えてくれた。
「改めて、護身術の稽古お疲れ様でした。早速ですが、テーブルマナーのお勉強をしましょう」
「はい……」
 今朝のことを思い出すと、胃が痛くなる。カミリアの心情を察したのか、サージュはカミリアの肩に手をおいた。

「これは食事をする場ではありませんので、書きながら覚えてもいいんですよ」
 テーブルの上には、ノートや筆記用具が置いてあった。カミリアは安堵してテーブルの前に座った。
 サージュは流れをひとつひとつ丁寧に教えてくれて、カミリアがノートに書き終えるのも待ってくれた。おかげで今朝のように焦らず、ゆっくり覚えることができる。

 何度かノートを見ながら所作の練習をした後、ノートとサージュのアドバイス無しで一通りやることになった。落ち着いて勉強できたおかげで、不安よりも自信が勝った。緊張しながら教わったとおりに食べるフリをしていく。
 ナプキンは2つ折りに、食器は外側から。食べ物を口に運ぶ時は、首を前に出さないように、意識しながら食べる。スープはスプーンいっぱいに入れず、半分程度を心がける。
 ひとつひとつ意識するのは大変だが、今朝のような失態を犯さないためにも集中する。
 最後にナイフとフォークを皿に置き、ナプキンをわざと雑にたたんでテーブルの隅に置く。

「素晴らしい! ほとんど完璧でした。ソニア様は優秀ですね」
「サージュさんのおかげです」
 サージュに褒められ、身体の力が抜ける。気がつけば、サージュへの苦手意識もほとんど消えていた。これならなんとかやっていけそうだ。

 外から鐘の音が響き、12時になったことを知らせる。サージュは少しの間窓の外を見て鐘の音に耳を澄ませると、笑顔でカミリアに振り返った。
「昼食の時間ですよ、ソニア様。ラウル様に練習の成果を見てもらいましょうね」
「はい」
 食堂へ向かう途中、カミリアを迎えに来たルナと合い、3人で食堂へ向かった。テーブルの上には今朝と同じくふたつのお誕生日席に料理が並んでいる。
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