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Memory of Night 2
第2章 秘密のアルバイト

 宵はため息と共に、二万円をポケットに戻した。その一連の動作に、ふいに一年前の行動がフラッシュバックする。
 その頃はよくこうして無造作に、貰った金をポケットに入れていた。

「次あのおっちゃんに会った時返す。それまで預かって」
「わかった」

 もう一度春加に札を渡すと、今度は素直に受け取ってくれた。

「じゃ、送ってくれてありがと」

 車を下りようと、ドアに手をかける。

「宵、おまえさ、ショーに出てみる?」
「え?」
「何人かの客からリクエストあってね。まだ高校生だしドリンク以外させる気なかったけど、ショーに出た方が稼げる。破格だ。あそこには、金銭感覚の狂った金持ちがごろごろいるしな。もちろん、今日みたいな過激なショーには出さない。それでも、一回出れば何万て貰える」

 ドリンク運びだけじゃどんなにやっても二千円。時給が上がるといってもたかが知れている。そう春加は言った。
 金銭感覚の狂った金持ち。その言い回しでついつい晃が浮かんでしまい、宵は苦笑した。晃を大人にしたような輩(やから)があの店にはうようよいるのだろう。

「残念。一年前なら喜んで引き受けてただろうけど、今はいーや」

 自分の体を必死に切り売りしていた頃を思い出す。あの頃のような稼ぎ方はもうしたくなかった。

「なんで?」

 宵は羽織っていたカーディガンを畳み、助手席に置いた。

「ーー恋人がいるから。じゃ、また明日お迎えよろしく」

 ドアをしめ、宵はアパートの自室へと、明かりの灯った部屋へと入っていった。
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