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Memory of Night 2
第13章 投影

 亮がどれほど話しかけてこようと、無視を決め込む気でいた。最初は。
 だが思いもよらない切り出しに、つい顔を上げてしまう。

「最初は気のせいかなって思ったんだけどね。綺麗な子だけど奇抜な外見をしてるわけじゃないし、テレビで観た女優さんに似てる人が居たのかな、とか。ーーでもやっと、今日思い出した」

 春加は瞼を閉じた。
 ーー忘れる方が、おかしいのだ。
 あの日の出来事は、亮にとってそんなにも取るに足らない小さなことだったのか。
 音も匂いも感触も、五感で感じていた全てを春加はまだ鮮明に覚えている。
 白いレースの服。突き刺さる視線。剥き出しの肌を撫でるごつごつしたたくさんの手。汚い水音。雄のにおいと、人工的な香料のにおい。欲望にまみれたたくさんの瞳。ベルトやショーツに捩じ込まれていく万札たち。

 ーー愛してるよ。僕にはハルちゃんが必要なんだ。

 今よりもずっと治安が悪かった当時の店で、亮の言葉だけが唯一店で働き続ける理由になった。
 売上を伸ばすことが、彼を喜ばす一番の贈り物だと知った。そのためなら、何をしても構わないとさえ思っていた。

「あの日……雨が降ってたっけ。君を連れ戻しに来たよね?」
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