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Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

 明たちと別れたのは、六時半をまわった頃だ。
 花火は七時から打ち上げられる予定だった。宵達は早めに祭の中心から離れ、人のいない静かな川辺まで歩いた。

(去年も来たな、この場所)

 晃は心の内で呟いた。
 木々に覆われた自然公園。腰の辺りまでの古びた手すりの先には浅い川が流れている。
 去年は宵に女装をさせていたため、知り合いに見つかるのを恐れ、早めに祭の中心部から逃げてきてしまった。
 慣れない下駄のせいで靴擦れを起こしていた宵を、なかば無理矢理ベンチに座って休ませた。
 志穂に対しての宵の本音を聞き出した場所でもあり、同時に自分の中の恋愛感情を初めて自覚した場所でもあった。

「そこで見る? 花火。まあ遠いからあんまよく見えねーかもだけど。木とか邪魔だし」

 宵に促された場所は、まさしく去年二人で座ったベンチだった。

「うん」

 晃は頷き、つい笑みが零れる。
 宵も覚えているのだろうか。この場所を感慨深く思うのは自分だけではなく、彼も特別に感じてくれているのだろうか。
 腰を下ろしながら、晃は宵に尋ねた。

「ここ、覚えてる?」
「ここ?」
「今座ってるベンチ」

 晃は右手で真下を指さした。
 宵が頷く。

「去年来たとこじゃん。……消毒とか言って人の足舐めてきたとこ」
「……ああ、そんなこともあったっけ。最初に思い出すのそれ?」
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