この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

「ーー俺、春から東京の大学に行くんだ」

 風のない公園内は静かで、自分の声がやけに大きく聞こえた。
 晃の腕の中、宵はわずかに身じろぎした。

「ちゃんと話すのが遅くなってごめん。……ここから通うには遠すぎるから、大学に通う間は東京に住む」

 そこは晃の父親が卒業した大学だった。
 小さい頃からずっと医者という仕事に憧れていた。晃が産まれた時から父も母も医療にたずさわっていて、二人の背中を見て育った影響が大きいのかもしれない。
 いつしか憧れは夢になり、高校を決めた時から、その先の進路も決めていた。大切な恋人ができたからと言って、それを変えるつもりはない。
 でもそれは、宵と離れてしまうということ。早くて四年の遠距離、無事に進学、進級、卒業できればいいが、そのあと地元ですぐに就職できるかもまだわからない。
 途方もない時間に思えた。

「ーー頻繁に会えなくても、宵は俺のこと好きでいてくれる?」

 口にしてみて改めて思う。それが一番怖かったのだ。今までのように、毎日会えなくなる寂しさも確かにあるが、それによって宵の気持ちが離れていってしまったら、と思うと怖くて仕方がなかった。
 おまえ、最近なんかウサギみてー。
 何日か前に宵に言われた言葉が蘇る。不安な気持ちは隠してきたつもりなのに、そんなにも態度に現れていたのか、と思う。
/606ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ