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Memory of Night 2
第25章 夏の終わり

「……『ずっと』って言っただろ? たかだか数年離れて暮らすくらいで、俺の気持ちが冷めると思った?」

 ああ、と思う。
 全然信用してないと言われた理由がよくわかった。

「……ごめん」

 晃はもう一度宵の体を抱きしめた。腕におさめた時のサイズも、匂いも、声も、温もりも、全てが愛しいと思った。

「赤本とか大学の資料とか、全部どっか隠しただろ?」
「……あ、バレてた?」
「なんでだよ」
「ーー俺が怖かったんだよ。たった数年でも、宵と毎日会えなくなるの寂しい。君に具体的な話をしたら、実感湧いちゃうじゃん」
「だからって、隠してどうにかなることじゃねーじゃん。発想が子供みてー」

 宵は肩を揺らして笑っている。抱きしめているとその震えも伝わり、晃もつられて笑った。

「……どうせ俺は子供だよ」
「すぐ嫉妬するし、わがままだもんな」
「……宵にだけだよ」

 家が裕福だったのもあり、欲しいものはすぐに手に入る環境にあった。
 そのせいか、手に入れてもすぐに飽きてしまうことが多かった。
 物欲の延長線上に性欲や恋愛もあったのか、物だけでなく人との関係にも飽きやすかった。どれだけ欲しいと思っても、付き合うとすぐに冷めてしまう。
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