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Memory of Night 2
第26章 承諾書

 その日の夜。晃が予備校からアパートに帰ると、ドアの前に人影があった。
 春加が来ることは承知していた。彼女から昼間ショートメールが入っていたからだ。
 ポスター撮影に関しての詳細が決まったから、直接話をしたい、夜行っても良いかという内容だった。
 ずいぶん急だなとは思ったが、今日は金曜日。明日は学校も予備校もないので、遅くなっても問題はなかった。詳細については晃も気になっていた。泊まりに行く場所もだし、日程や段取りなどしっかり確認したいとも思っていたので、来て説明してくれるならその方がありがたい。
 当然宵の許可も取っているものと思い、今日来ることを了承したのだった。
 アパートの前には宵に貸した自転車もあるし、春加の赤いスポーツカーも駐車スペースにきちんと停まっている。
 だが、自分達の部屋の前に佇む黒いシルエットは、女性ではなく男性のもののようだった。

「……どちら様ですか?」

 念のため、二メートルほど距離を取り、晃は訪ねた。男が振り返る。
 顔を見てわかった。ドアの前に立つ男は不審者ではなく、宵のバイト先のマスターだった。確か亮という名だ。前回春加を迎えに来た時に、ご丁寧に名刺を渡されたので覚えていた。
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