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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

 その言葉で、去年の姫橋祭の時のことを宵は思い出していた。
 晃の家で彼の母親のものだという青い浴衣を着せられたが、その時も、もちろん晃の手で。素人目ではあるが、特段変なところはなかったように思う。

「衣装に関してはわかった。晃に任せるよ。だけど緊縛はプロの土方さんに……」
「ーーどうして?」

 晃は春加を遮り、静かだがはっきりと問う。

「外で撮影するんでしょ? だったら、例えば吊し上げるような本格的なことはしないでしょ?」
「……しねーよ、恐ろしいこと言うな」

 つい宵は口を挟んだ。そんなの要求されたらたまったものではない。

「だけど、前も言ったけど素人がやると危ないんだよ。筋や筋肉を痛めることだってあるし」
「だったらハル姉が教えてよ。あたしが教えてやろうかって言ってただろ?」
「…………いつ?」

 そんなやり取り、宵は知らなかった。
 晃に問うと、君がドライブに連れまわされた時、とやや不機嫌さを滲ませながらも答えてくれる。

「……あー、言ったっけそんなこと」

 春加は無造作に髪をかきあげ、黙ってしまった。珍しく、反論する言葉を探しているようだった。
 ウイスキーを一口飲んだところで、それまでほぼ口を出さなかったマスターの亮が、唐突に笑いだした。
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