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Memory of Night 2
第31章 来訪者

 花魁ショーがあった週の土曜日。宵の携帯に着信があった。
 表示された名前に、一瞬戸惑う。
 電話の相手は志穂だった。

「もしもし」
「あら、一回で出るなんて珍しい」

 志穂は無邪気に笑った。

「スマホ、ちょうどテーブルに出てたから」

 確かに持ち始めたばかりの頃は、放置しすぎて数時間電話やメールに気付かないこともザラにあった。
 今じゃだいぶ慣れてスマホを見える場所に置いておく習慣がついてきたのでそこまで折り返しや返信が遅くなることはない。あくまで当社比だが。
 加えてスロットの願掛けだといい春加からもよく七回の鬼電が来る。おかげさまで着信に気付けるようにもなった。
 だが、志穂には連絡がつきづらいイメージのままなのか、急ぎの用でなければメールが多い。もしくは、晃に連絡がいく場合も。
 だからこうやって宵のスマホに電話が来るのは珍しい。

「……なんかあった?」
「え?」

 問いかけると、わずかに間があった。

「ううん、そういうわけじゃないんだけど。……ちょっと、話したいことがあって。明日の昼間、行ってもいい?」
「明日? 先生と来んの?」
「……ううん、わたし一人で行く」
 
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