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Memory of Night 2
第34章 衣装合わせ

 宵に続き、ローズのスタッフ達もほとんどの子が首を横に振っている。
 中には知っているスタッフもいたようだが、ほとんどの子が初耳だったようだ。

「まあ、どっちでもいいだろ。そもそもお客様のプライベートをあれこれ詮索するのはよくない」

 腕を組み、春加は真面目な顔で言う。
 そこは確かに、とは思うが。

「あんな、縛りたい縛りたいうるさかったのに」
「だから、縛りたかっただけだろ? 付き合ってとか、店辞めて嫁に来いとか言われたことはないだろ?」
「……確かに」

 運転手やスタッフ達には聞こえないくらいの小声でのやり取りの中、宵は土方の言葉達を思い出していた。
 会うたびに容姿を褒められてはいたが、求めてくる内容は一貫して縛らせてのみだった気がする。店の外で会いたいと言われたこともないし、食事に誘われることも、連絡先を交換したいと言われたこともない。

「金持ちの道楽だよ」

 その言葉に、つい宵は晃にちらりと視線を向けてしまう。

「……なんでそこで俺を見るの? 将来そんな莫大な資産持ちになる予定はないし、俺はずっと宵……」

 言いかけて、口をつぐむ。

「……ずっと大切な恋人のことしか見ないし、興味や愛情は全部その人に向けるよ。やりたいプレイも、全部その人とがいい」
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