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Memory of Night 2
第34章 衣装合わせ

 屋敷に入ると広すぎる玄関の向こう、まず大広間があった。ずらりと用意されていたモコモコのスリッパへと履き替える。
 赤いカーペットが敷かれ、壺や石像が設置された屋敷内は、外同様金がかかっていそうだ。高い天井は、吹き抜けになっており、金色の縁に囲まれた天窓から外が見えた。テレビでしか見たことがないようなシャンデリアもあった。
 待ち構えるように、噂していた土方は立っていた。

「遠いところから、よく来てくれたね。東北の雪景色はどうだい? 綺麗だろう? 長旅でお腹も空いたろう? 食事の用意はできてるよ」

 顔は普段通りの土方だが、びしっとスーツを着こんでいた。豪奢な洋館の主(ぬし)としても、意外と様になっている。

「やあ、宵くん。会いたかったよ。今日も可愛いね」
(いや、変わんねーか)

 どれだけ着飾ってようが、土方自身は店にいる時のままな気もする。
 土方の宵に対する馴れ馴れしい態度に晃の顔色がわずかに変わったが、それを制するように、春加が前に進み出た。

「土方さん、このたびは本当に、こんなに素敵なお屋敷に呼んでいただき、撮影場所や機材などまでお貸しいただきありがとうございます。二泊三日の撮影合宿となりますが、よろしくお願い致します」
「いいんだよ、そんなに固くならなくて。ハルちゃんのためならいくらだって協力するよ。マスターやアメリアさんはもう来て準備してるから。長い移動で疲れたでしょ、部屋はもう用意してあるから、荷物を置いて食堂においで」
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