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玉蘭花の香り
第7章 暗雲
台北に戻り、2人で住む部屋を決めるまでは、
ロンの家に仮住まいすることになった。

というのは、まだ傷が痛くて家事があまり出来ないということと、
お国事情で、特に新築の場合はスケルトンで売られている物件もほとんどなので、
内装などにも時間が必要だったからだ。


お祖母様達には、心配を掛けるといけないので、
今回のことは伝えなかったが、
ロンは、お父様とお祖父様には話をしたようだった。


ロンの為に純潔を護ろうとしたことについては、
本当に誇り高いヤマトナデシコだと感極まっていたが、
その為に無鉄砲なことをする点に驚いていたようだった。

その度胸の良さは、学校の先生ではなく、
一族の仕事をさせた方が良いのでは?という話も出たようだったが、
その話を聞いたのは、だいぶ後になってからだった。



ということもあって、
お父様とお祖父様は、ますます私に甘くなっているようで、
くすぐったい気持ちになってしまった。


それはロンも同じで、
「美香さんは本当に気高いお姫様だ」と言って、
「僕は一生美香さんを護るから。
でも、今回のようなことがもしもあったら、
命を優先して。
美香さんを失うと思ったら…」と、
あれこれ心配してくれるようになった。


そして、毎晩、胸の傷に氣を注ぎ込んでくれた。
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