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フレックスタイム
第2章 秘書室へ
「あの、お化粧落としたいので、
シャワー浴びても良いですか?」と言うと、

「僕もシャワーする。
なんか、背中がチクチクする」とケンも言うので、
2人でバスルームに行った。


部屋着に着替えてさっぱりした気持ちでリビングに行くと、
社長が、
「もう秘書から家のヒトになったのか」と笑った。


「お化粧してると、ずっと顔に膜が貼られてるみたいで好きじゃなくて。
ケンがキスしてくれる時にもお化粧品が口に入るなんて」と言うと、
可笑しそうに笑う。


「それと…仕事ではヒール靴履きますけど、
ケンの送り迎えの時はスニーカーにさせていただきます。
もしもの時に走れないと、
ケンを守れませんので」と言うと、


「違うよ?
僕がリリィを守るんでしょ?」とケンが言って、
私の頬にキスをする。


「じゃあ、会社のデスクの下に、
パンプス置いて置くと良いよ。
化粧も…最低限で良いよ?
佐藤さん、肌が綺麗だから、ノーメイクに見えないしね?
口紅くらいは付けてね?
お局に怒られるから」と笑った。


「でも…シャネルのじゃないとダメですか?
苦くて…」と言うと、
大笑いされた。


「オトコが口紅プレゼントするのは、
キスしてその分、お返しして貰う下心があるっていうけど…
それ、苦いのか?」と、笑いが止まらない。


「味見したいけどね?」と、
涙を流しながら大笑いするので、

「シャネルの口紅付けてる女性は、
毒!
劇物危険ってことなんじゃないですか?」と言うと、
更に笑われてしまった。


「佐藤さんなら、毒でも良いけどね?」と言うので、

「死にますよ?」と答えると、

「ダメだ。笑い死にしそうだ」と言われてしまった。


「寝ている姫にキスしたら、
姫は目を覚まして、
王子は死ぬのか。
凄い話になるな」


私も笑ってしまった。


「マンゴーみたいな香りと味の、
美味しい口紅もあるんですけどね」と呟くと、

「そっちを味見したいな?」と耳元で囁くので、
私は耳まで紅くなってしまった。


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