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そぶりをやめて
第15章 158日
「...っ、...あっ、ダメ...」

大きなベッドの中で、汐里が逃げようとしている。

「なんでダメ?」

逃げようとしてるのだって、本気じゃなさげ。
手をほんのちょっと、軽く引っ張っただけで、胸の中に舞い戻った。

さっきまで散々キスしまくってて、力が入らないのかもしれないけど。

言葉と裏腹に、艶めかしく体をしならせて、密着度が増す。

「...だって、まだこんなに明るいのに。カーテン、してないし」

そう言いながらも、唇がまた重なって舌が柔らかく触れる。

「大丈夫。あの窓から、ここ見えないって」

そう言いながら、抱きしめた汐里の服の下に手を滑らせる。

「ん...」

より深く舌が絡まって、ベッドに深く沈んでゆく。


ロフト付きのコテージで、ベッドがそのロフトにある。
窓の向こうは、砂利で出来た浜辺がある。
水際までは急勾配だし、コテージが少し足高な構造なので、誰かに覗かれる心配はまず無い。
カーテンしてない、といいつつも。それはゴツいやつのことで。
薄いカーテンはかかってたー、と思う。

さっき鍵を受け取って、部屋に着いたばかりだ。
ロフトの様子が気になって、荷物を投げ出して、階段を登ってきた。

背の高いロフトから、リビングは見下ろせるものの。
距離と角度があるので、窓の向こうは見えない。
ということは、向こうからもこちらは見えない。


だけど、なんともいえない背徳感はある。

新婚旅行代わりの有休を取っての休みを利用しているが。
平日の、真昼間の、しかもまだ明るいうちから、ベッドにいる。

乱れた服の中から汐里の色付いてきた肌が見え隠れして、めちゃめちゃ色っぽい。

すっかり息があがって、顔もとろんとしてる。

「っ、は...」
「汐里...。すげー可愛い」

本当に自分が、こんなにもハマるとは思わなかった。

「好きだよ...」

こんな言葉を囁きまくるなんてことも、思ってなかった。

「...汐里」

たなっち、と呼んでいたのに。
いつの間にか、汐里と呼ぶのが定着してきた。

汐里も、まっけーと呼んでいたのが、佳佑と呼ぶようになったし。

ヤってる最中に汐里の口からそう呼ばれたら。
しかも、いつもより少し高い声になって、気持ちよさそうに、愛おしそうに、「佳佑」なんて呼ばれたら。

ほんっとヤバい。
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