この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
そぶりをやめて
第20章 260日
結婚してすぐの頃、早く妊娠したくて堪らなかった。

今思えば、それがスピード結婚した理由なのだからと焦っていたのかもしれない。

早々に妊娠検査薬を買い込み。

1年は様子を見ようと口では言いつつも、生理になる度にがっかりしてたし。

普段の生活で、ちょっとでも体調に変化があったら疑ってみたり。

スマホで“妊娠初期症状”とか検索してみたりして。
当てはまるものがないか、無理矢理探ってみたり。

誰にも言えなかったけど、実はすごく気にしていた。


でも、夏になった頃から、それらをすっぱり辞めてみた。

それは、義姉倫子からのアドバイスもあったけど、考えてることに疲れたのもある。

そうこうしているうちに、カフェ兼お弁当屋の話が持ち上がり。
バタバタ忙しくて。


なので、初めて。この妊娠検査薬を使ってみた。

陰性だとしても、気にしない。

そう思いながら結果を待つ。
その、ほんの1分がすごく長く感じる。

いたたまれなくなって、妊娠検査薬を伏せてトイレタンクの後ろにある棚に置いて、トイレを出る。

もう結果は出てるだろう。

トイレの前をウロウロしたり、水を飲んでみたり。

意を決して、見に行く。


えいやっと掴んでひっくり返すと、くっきり線が出ていた。

まじか。


じっと検査薬を見つめる。


病院。

病院の予約しなきゃ。


スマホ。スマホ。どこだ。

仕事から帰ったばかりで。トイレに駆け込んで。

どこに置いたか覚えてない。


そうよ玄関。

きっと玄関。

急いで玄関に向かって、床に放り投げたカバンに手をやる。


その時、ガチャガチャと玄関の鍵の音がして、佳佑が帰ってきた。

「ただいっ、うわっ、ひびった。なにしてんの」

「佳佑...」

玄関にそのまま座り込む。

佳佑の顔が見えて、なんだか一気に安心した。

「何なに、なにごと?え、とうとうぎっくり腰なった?」

ここのところ、腰が痛いって佳佑に相談してた。
立ちっぱなしだし、コキ使われているし。
てっきりぎっくり腰になりかけてるんだと思っていたのだ。

「違う違う。...たぶん、だけど。いや、たぶんでもないか。おそらく?かな」

「ここ冷えるから、部屋行こう」

腰を気遣って、立ち上がる汐里を支えるようにして、リビングに移動する。

「...妊娠した。と思う」
/240ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ