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そぶりをやめて
第22章 3815日
「汐里...。汐里っ...」

首元で名前を何度も囁きながら、佳佑が体を揺らす。

その腕に抱きしめられているとはいえ上体を起こした体は不安定に思えて、汐里も佳佑に回した腕に力を込める。

「けい、すけぇ...。あっ、ああっ」

普段、自分たちのことは子どもたちの手前『父さん』『母さん』と呼びあっていて、名前を呼ぶことはめっきり少なくなった。

セックスする時だけ。

しかも、こんなに何回も呼ぶのは、この年一の旅行期間中ぐらい。

だからだろうか、少し恥ずかしくて。
名前を呼ばれるとぞくっとして。
そんな気分が増長する。

這い回る指先が胸の上で踊って、形を変えてゆく。

妊娠中ほどの張りはないし、息子2人ともをミルクと混合とはいえ授乳もしたので、あの頃とは姿を変えている。

だけど、いや、だからか。
妊娠前より大きくなっていて、有り得ないほど柔らかく波打ち揺れ動く。

その胸を両手で寄せるように、持ち上げるように、ぐにゅぐにゅと揉みしだかれ。
腕の支えのなくなった汐里の体は、次第に前のめりになってゆく。

反り返る背中を、佳佑の舌が追いかけて舐め上げる。

「ああっ、イっ、...いっ、ちゃっ」

体のあらゆる所に快感が走り震えが来て、力が抜けてしまう。

気持ち良すぎて、最早自分がどういう体勢になっているか、あまり分かってない。

気がつくとうつ伏せた状態で、より佳佑の存在が体を強く貫く。

「んあっ、ふか...いっ、ああっ、そ...れぇ、んあんっ」

必死に手元にある布団らしきものを掴んでみるも、頼りなくて全く支えにならない。

大きなストロークで、突かれ続けて奥に到達するたびに、嬌声がほとばしる。

「んぁっ、あっ、ああっ」

覆い被さるように佳佑に抱きしめられながらも、腰は激しく音を立ててぶつかって、また汐里を追い詰める。

次第に閉じていた足を広げられ、いつしか体の前面が布団から離れてゆく。
大きく持ち上げられた片足が結合部を広げ、また違う角度となって汐里をゆっくりと突き上げる。

「はあんっ、やぁっ」

またさっきとは違った不安定さに、佳佑の頭に手を回す。

顔が近づいて、乱れた呼吸の中も唇が引き寄せられる。

揺れ動きながらも、互いの顔を引き寄せ、絡まるようにしてねっとりと舌が行き交う。

「汐里...。好きだ」
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