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第35章 情事のはじまり

…誠side…

梅雨真っ只中のジメジメとした蒸し暑い日、僕は一人、品川駅で美穂さんを待っていた。


旅行鞄は大したものは入っていない。


どうせ服なんて行き帰りぐらいしか着ないんだ。


僕は先月末とうとう長年勤めていた会社を退社した。


今月は中頃からいよいよ祐司との仕事を始める予定になっていた。