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揉ませていただきます
第5章 男性編 マッサージの依頼
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夜も更けた頃、健斗の元へ指名の連絡があった。
「出番よ、頑張って頂戴。
606号室よ。お部屋を間違わないでね。
あ、それと…」
女将は少し言いよどみ、
健斗の耳もとへ顔を近づけ
「女性の一人客なの…
予約なしのタヌキさんだから
訳ありかもしれないわ…
それとなく聞いてみてね」
タヌキ?
怪訝そうな顔をしていると
「夕食抜きのお客様の事よ」と
房子が教えてくれた。
なるほど夕食抜きでタヌキか…
「あ、でも、なぜ夕食抜きだから
訳ありかもとなるんですか?」
「うちのような温泉旅館は
温泉を楽しみたいだけの方は
日帰りを利用するわ。
女性のひとり客で食事がいらないというのは
訳ありが多いのよ」
なるほどね…
では、それとなく理由も聞いてみましょう。
なんだかとてつもない任務を得た気分で
意気揚々と606号室に出向いた。
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