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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第22章 coming to America
仮縫いから本縫いに入って、もうすぐ完成になるのがあるから、

帰国したらもう一回フィッティングに来てねとのことだった。

そこまでチェックしてコーヒーを口に運び、ふと目線を外に向ける。


………え?

車道向こうにはクリスマスの買い物を楽しむ人たちやビジネスマン。

学校帰りであろう子供たち。

様々な人たちが、行き交う車の向こうに見える。

その中に……え?…朝比奈さん?

ガシャン!

コーヒーカップを無意識にソーサーに戻したせいか、派手な音をたててしまう。

零した?と思い、一度そちらに視線をやり、もう一度窓の向こう。

朝比奈さんが見えたところに慌てて視線を戻すが……。


いなかった。

なんども辺りに視線を彷徨わせるが。いない。

ああ、ここは日本じゃないんだった。

私、今度こそ幻見ちゃったんだわ。

目を瞑り、大きく一息つく。重症だなぁ。

幻でもいいと歌に自分の想いを重ね、愛の告白みたいなことをしちゃったけど。

かえって迷惑だったみたいなのに。

あんな大人の人に、私みたいな子ども、

相手になんかしてもらえないのは、最初から自分でもよく分かっていた筈なのに。

淡い恋心くらいで終わるんだと自分でも思っていた。

憧れの人くらいの位置づけになるんだと思っていた。

恋愛するなら、自然に手を繋ぎ合い、

『好きだよ、沙織ちゃん』と言って頬にキスしてくれた桜井さんと始める方が

ずっと現実的だと思う。

彼となら、手を取り合って色んなこと体験しながら

愛を育んでいく姿が容易に想像できる。

でも。朝比奈さんは?

彼とのそんな姿、想像できる?

ううん。想像できない。

ただ、それ以前に。

ただ、彼を。

彼の心が欲しいと。

一心にそれだけを想ってしまう。

バカだなぁ。私。

それが辛くって逃げて。

日本を離れアメリカに来たっていうのに。

叶わない想いを心に閉じ込めるって、自分も何度か小説の中で書いてきたけど。

こんなにも、辛いことだったのね。

薄っぺらい小説家だったのね。

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