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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第28章 New Year


「そんな…………。」

まさか、雅人さんがそんなことになっていたなんて

露ほどにも思っていなかった私は。

そこから言葉を発せなかった。

「ごめんなさいね。伝えるべきかどうか、迷ってしまってたの。」

マチ子ママもきっと私よりずっとショックを受けていたに違いない。

その後、体力の回復に務めながら色々模索しているのだそうだが。

何しろ脳に関してはまだまだ未知の事が多くて。

記憶が戻る可能性なんて、本当に分からないのだ。

レイ。どんなにショックを受けているだろう。

ああ、でも。

「レイは相変わらず雅人の傍にいて雅人の世話を焼いているわ。」

マチ子ママが優しく微笑みながらそう言う。

「沙織ちゃん。年が明けたら。お年賀LINEでも、してあげたら?」



記憶を失くしたとはいえ、雅人が目覚めて。

今こうやって一緒にコーヒーを飲めるようになったのは、やはり嬉しい。


長く寝込んでいたせいもあってか、筋肉もちょっと衰えている。

身体の中の薬もまだ抜けきった訳では、ない。

副作用の心配がゼロな訳でもないのだ。

もちろん加療静養が必要なのは変わりない訳で。

でも、変わったことがひとつ。

私たちが同じベッドで眠らなくなったことだ。

記憶を失った雅人は、当然ながら自分が誰なのかも分からない。

当然、私の事も。

雅人が記憶を失ったのが確定してしまったあの日。

あのまま雅人はひと眠りし、夕食を運んで行った私の気配で目覚めた。

一緒に夕食を摂ったのだが、会話はほぼ、なし。

膳の上げ下げ、コーヒーを勧めた時はきちんとお礼を言ってはくれるのだが。

それだけだった。

朝倉医師には、無理に思い出させるようにするのではなく。

普段通りに接するように言われていた。

普段通りの何気ない言動の中にもきっかけがあるのだから、と。

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