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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第6章 【あなたに壊されたい】





「リリカちゃん、また指名して良い?」




「はい、ありがとうございます」




仮面の下でニッコリ微笑む。
あくまで噂…という事で例のネット事件は解決したように見えた。
ただ、令嬢だという噂は消えずそのまま根付いてしまったようだ。
その相乗効果は凄まじく指名が後を絶たない。





ようやく、私たちも禁欲解禁か…!?




しかし堤さんも忙しい人。
なかなか時間は合わない。
すれ違う中で何とか時間を作ろうとしてくれているのは肌で感じてる。




朝、目が覚めて隣に服のまま寝ていた事があった。
髪を撫でるとハッと飛び起きて慌てて仕事に向かう日々。




二度三度…とキスだけで終わる。
またやつれているようにも見える堤さんを抱き締めて送り出すしか出来ずに居た。
やっぱり、私がそちらに行って同棲した方が良いのだろうか。




職場からこっちより堤さんの家の方が距離的にも近いしその分長く居れる。
引き出しを開け、以前預かっていた堤さんのマンションの合鍵を手に取る。




いや、ダメだ。
やっと噂されなくなったのに自分から近付いてどうするんだ。
誰かに見られたら……今度こそ言い訳出来なくなる。




“いっそ公表するか”




いつかの堤さんの言葉が蘇る。
私が!?堤さんの恋人!?
公表したらどうなるの!?
今まで通り働く訳にはいかないだろうしどちらかが職場を変わる事になる。




それとも、潔くこの辺で辞める……?
いや、まだ何も、堤さんに言われた訳じゃないし早まるのもどうかと思う。
付き合ってる段階であって何も約束された状態ではない。




今度、相談してみよう。




と言ってもすぐに捕まる相手でもない。
出勤日でも会わない時なんてザラだし。
その分、メッセージのやり取りはしていたけど最近はそれもお預け状態。
その間、キスもセックスもオナニーもしていない。




本気の禁欲生活を虐げられている。




だから……接客にも影響しちゃって。




危うくお気に入りのお客様にキスしかけた。
耳に息を吹き掛けたり首筋にキスしたりと誤魔化しながらいつも以上に長く手コキしてしまう。











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