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抱き屋~禁断人妻と恋人会瀬
第19章 白田希美 30歳①妄想教師妻
 女性の素の顔を知るのもまた、この仕事の楽しみだ。それにしてもこの希美はいったい、佐伯に何を求めてやって来たのだろうか。

 実を言うと、二人がいる場所は普通のラブホではないのだ。いわゆるSMプレイが可能なスペシャルルームである。それも、かなりの特殊使用だ。

 鉄格子つきの牢屋や、取調室のような部屋がついている物々しい内装である。警察イメクラにありそうなセットだと、佐伯は思った。

 まさかだがここで、と指定してきたのは希美本人だ。

 カウンセリングだけなら、なんでまたこんな特殊な部屋をどうして予約する必要があったのだろう。佐伯の疑問はすぐに、氷解することとなる。


「実は夢に悩まされているんです…その、エッチな夢に…」

「エッチな夢ですか…」

 ますます怪訝だが、佐伯はここで鈍い顔はしないようにした。力になれるか分からないが、深刻な問題のようだ。うつむいた希美は眉をひそめ、真剣に悩み苦しんでいるようだったからだ。

「欲求不満…なのかも知れません。実は、夫が同業者なんですけど、職場が違うのもあって、少し距離が出来て…」

 希美の夫は現場の教員から、県の教育委員会へキャリアアップしたそうな。出張が増えた上に、趣味は登山だと言う。仕事ついでに方々の山を巡り、帰宅した時には家は寝床でしかない、と言うわけだ。

(典型的なセックスレスだな…)

 と、佐伯は思った。

 こんなに色っぽくて、美しい奥さんがいるのに実にもったいない。

「そうか。それで、希美さんはエッチな夢を…?」

「だと思うんです。それ以外、考えられません…」

 と、思い詰めた口調で希美が語りだしたのは、とんでもない内容の淫夢だった。

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