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陽炎日記
第3章 カスミ
 いきなり知らない相手から
 『熱は下がったかい?昨日は可愛かったよ。この写真ネットにばら蒔かれたくなかったら誰にも話したらいけないよ。』
 なんて脅迫文と顔が判る様に写されたオナニーシーンと男の指を咥え込みながら自らクリトリスを弄っているオマンコのアップの二枚の写真が送られてきたのだ。頭が真っ白になる程のショックを受けたに違いない。それでも僅かな時間で返信してきたのだから意外と気丈な性格なのかもしれない。
 『下手な詮索をすれば松浦高のHPに写真を投稿する。』
 更なる脅迫状は帰宅して30分してから送った。直ぐに返信しなかったのはカスミを焦らし恐怖心を煽る為だ。
 今度の返信は早かった。ものの3分と経っていない。
 『言う通りにしますから写真返して下さい。』
 名前、住所、メアド。それに加えて学校までと個人情報がバレてるのだ。抵抗は無意味だと観念したようだ。
 『今度の土曜日13時に○○公園の噴水に制服を着て1人だけで来い。』
 指令文と共に絶頂し惚け顔の写真を送ってやる。写真ならまだまだ有るというアピールだ。
 これで指定の日時に1人で来ればよし。来なければ縁がなかったと諦める。「逆らえば写真を公開」というのは単なる脅しだ。そんな事をしても俺に1円の得もない。なにしろ空き巣のついでに撮った写真だ。万全を期したつもりだが何処に落とし穴があるか判らない。ドラマなんかだと被写体の眼球にカメラを構えた犯人が写り込んでいてなんて荒唐無稽な物まであるのだ。用心に越したことはない。
 兎に角俺は約束の土曜が来るのを遠足を前にした子供の様にドキドキしながら待った。
 待望の土曜日は朝から曇天だった。そういえばカスミの家に仕事に入った日も曇ってたな。もしかしてカスミは雨女か?馬鹿な事を考えながら指定の公園に着いたのは正午過ぎだった。公衆便所で気配を消して公園内を散策する。指定の13時までの間の数十分でそれなりに広い公園内を二回程丹念に回り刑事の張り込みがないか確認するがそれらしい人影はない。どうやら取り越し苦労だったようだ。
 12時50分。噴水が見えるベンチに腰を掛け女子高生の登場を舌舐りしながら待つ。
 来るかな?来ないかな?来るといいな。来て欲しいな。来いよな。
 今朝までは「来なければそこまでさ」と割り切っていた筈だが時間が切迫してくるとどんどん欲が湧いてくる。
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