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夜の蝶の物語
第4章 いたぶられる咲桜(さくら)

「HPに書いてあったでしょ?
女の子の体に傷をつけてはいけないことを」

「そんなことが書いていた気もするが、
なんにせよ俺はそんなことを
了承した覚えはない。
それよりも、お前はさっき、
どんな行為も受け止めて
それを言い触らさないという
誓約書にサインしただろうが!」

どんな行為も受け止めるって…

まさか、あの契約書に
そんなことが書かれていたなんて…

内容を読まずにサインした咲桜は後悔した。


言い争いをしている最中も
鬼八は咲桜を後ろ手に縛り上げて行く。

「ちょ、ちょっとほんとにやめてよ」

咲桜は緊縛作業を続ける鬼八を睨んだが
彼は決して目を合わそうともしない。

黙々と咲桜の体にロープを這わして行く。

一心不乱に作業を進めるその眼差しは
芸術家といっても過言ではなかった。


最初のうちこそじたばたした咲桜だったが
次第におとなしくなり
鬼八に身を任せるようになった。

肌に食い込むロープの力加減が絶妙なのだ。

それはまるで
見えないドレスを着せられていくようだった。


やがて「完成しました」とポツリと言うと

数歩離れて遠巻きに咲桜をしげしげと眺めた。


芸術家が作品の出来映えに満足するかのように
何度もウンウンと頷いた。

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