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キャンバスの華
第5章 華の嫉妬

そこで次郎はちょっぴりいたずら心をだした。

「手を拘束して、目隠しもしたんですよ」

近くの手ぬぐいに手を伸ばし、華の視界を奪った。

「ほんとに?…ほんとにこんなことを?」

視界を奪われて、ああ、これからどんなことをされるの?と
怖がりながらスタイルのいい体を小さく丸めた。

いつもはガミガミ怒りっぽい華が
しおらしく体を小さく丸めて怯えている…

眼下の華の姿を見やりながら
いやでも興奮している自分に気づいた。

「次郎ちゃん…ねえ、そこにいるの?」
次郎ちゃん、目隠しは取って…真っ暗でなにも見えない…
ねえ、そこにいるの? 怖いわ…

おっと…
ついつい見とれてしまって華を放置してしまった。
でも怖がる華が面白いので声を出さず 物音を立てず、
しずかに華のそばにしゃがんだ。

目は見えず、物音を立てなかったとはいえ
そこにしゃがみこんだ気配はわかるらしく

「次郎ちゃん…そこにいるのね?」
と少し安心したかのようにか細い声をだした。

それでも次郎は返事をせずに、
ただ黙って華の膝をスっと撫でた。

「きゃああ~~~!!!!
次郎ちゃん?あなたほんとに次郎ちゃんなの?」

二人しかいないのだ。
次郎に決まっているとわかりそうなものだが
視界を奪われ声が聞こえないと
第三者がそこにいる錯覚に囚われるのかもしれない。

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