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胡蝶の夢
第8章  夢 





ベルの音は僕を恐怖に支配する。


そう反応するようにアイツがした。


床に伏して頭を垂れるように。


何一つ色の無い真っ白な部屋が闇色に染まる一瞬。


それは刹那でも、永遠の様に感じられる。



「待ちかねたか…?」



黒い革靴が床に伏した視界の端に映る。


いつだってアイツは真っ黒なスーツで現れた。


黒崎自身が闇の象徴のように何者にも染まらない絶対の漆黒。


干渉を受けず、干渉する者。


夜を統べる闇。


黒崎はしばらく部屋の中を歩いた後、この部屋の唯一の家具とも言える僕のベットに腰掛けた。


ギギィィ……とスプリングの沈む音がする。


そして上から眺めるように僕を見下ろした。







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