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胡蝶の夢
第9章  華 


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翌朝から寛継は俺のまわりの一切をこなすようになった。


誰も口を利かない目も合わせない屋敷の中では、寛継だけが話し相手だった。


寛継のおかげでいくらか救われた。


屋敷での振る舞いや多種の作法はコイツから学んだ。


俺の生活が格段と質の良いものになっていったのはコイツのおかげだ。


ただ、その一方で問題があった。


本人は上手く隠し通しているつもりでいるかも知れないが、寛継の身体のあちこちに痣を見るようになったのだ。


理由は知らない。


けれど、初めに危惧した通りだとしたら…。



「寛継…」



「はい、何でしょうか?」



部屋のカーテンを開ける寛継に声をかける。


窓から差す眩しい光に背を向けて寛継が振り返った。







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