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第3章 　深淵　

ある日突然。


いつもの様に目覚めたら知らない部屋にいた。


終わりとは突然にやって来るものだと知った。


最も素晴らしい時に終わってしまう儚い夢の様に。


もしくは…


これこそが永遠にも感じられる長い悪夢なのかも知れない。


すべてはアイツのせいだ。


黒崎直弥【くろさきなおや】


黒崎財閥の御曹司であり、なんでも手に入れようとし、現に手に入れてきた野心家。


不可能を知らない権力と実力を持ち合わせる男。


そんなアイツが次に手を伸ばしたのが僕の家だったってわけだ。


衰退した名家にいくら金を積んだのか？


アイツは異常だ。




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