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胡蝶の夢
第4章  檻 



一番に窓を覗いた。


この部屋の窓は風を運ぶため大きく開かれているが、外枠には鉄格子がはまっている。


部屋の統一性を守り、鉄格子さえも真っ白に塗り込められていた。


白の隙間から外界が見える。


身を乗り出して覗けば、そこは深い深い森だった。


見渡す限りは一頻り森が続いている。


これは助けを求めても誰にも見つけてもらえそうにない。


正直、この窓がダメならば絶望的だった。


窓に鉄格子をはめる様な奴が、うっかり扉に鍵をかけない訳が無い。


当たり前の様に唯一の扉には鍵がかかっていて、いくら押そうが引こうがびくともしなかった。


映画には良く通気孔を通って脱出なんてものがあるが、この部屋の通気孔はと言うとなんとか拳よりも僅かに大きいかなという程度の円。


通り抜ける云々の話ではない。


半狂乱で出口を探して部屋中を歩き回る僕と、意識のどこか遠い所からそれを静観して呆れている僕がいる。


まるで自分が2人いるみたいだ。





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