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胡蝶の夢
第4章  檻 




「コイツがお前をもっといたぶってくれとうるさいんだ」



顎で指されて彼女の肩がピクンと跳ねた。


小さく蹲る身体がさらに小さくなる。



「もっとお前に痛みと屈辱を与えてやれってな…」



「黒崎ぃ…」



ギリギリと奥歯が鳴る。



「ふんっ…、恨み言ならコイツに言えよ。コイツが俺に催促したんだ…、なぁ?」



不意に黒崎の掌が彼女の肩に置かれると、再び彼女の肩は怯えた様にピクンと跳ね、掠れた声で「はい」とだけ答えた。



「目の前でこの男が犯されているのを見て、興奮したんだよなぁ?」



「はい」



「もっと見たかったんだろう…?」



「はい…」



か細い声はどんどん弱々しくなっていく。



「どうしようもない愚妹だが…、ただ一人の大切な妹の言う事だ。兄として願いは聞いてやらないとな?」



妹…?


彼女の素性なんて考えた事もなかった。



「…想世【そよ】、礼は?」



彼女の肩に置かれた掌に力が込もっているのがわかる。


ギリギリと音が聞こえそうな程に。



「…っあ、ありがとうございます…」



なんだ、この茶番劇は…?







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