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胡蝶の夢
第6章  腐蝕 





きっとこいつには人間の様な温かい血は通っていないんだろう。


冷淡に冷酷に、他人を貶める事を自分の快楽にするような奴なのだ。


しばらく宙をかいていたため足が馬鹿になってしまっている。


腰に添えられた気色悪いはずのその手にさえ、支えを求めてしまう。



「あさましいな…」



そう言いながら、ネバネバとした粘度の高いジェルを塗り付けてきた。


どっちが。


どっちがあさましいと言うんだ。



「もっと顔を歪めて啼けよ」



「あっ、うあぁぁぁぁぁっ…」



意識さえも挿し貫く衝撃。


身体が裂けるのではないかと思った。


ぶちゅぶちゅと水音をあげて突き上げる肉塊。


重力のままにその全てを咥え込んでしまえる。



「んっ…んん」



「キツイな…そんなにがっつくなよ」



「あっ…んっ…んんー」



規則的に来る衝撃と体の中を摩り上げる不快感。


けれど唯一よろめく身体の支えとなるのは、串刺しに繋がったその場所だけだった。


今日こそが弱い僕の死んだ日。











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