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胡蝶の夢
第6章  腐蝕 





自分でも自分の感情を計れない。


どこか投げ遣りで、どこか野心的な笑い。


恐ろしいほどに制御しきれていない自分の身体がこれからどうなっていくのか?


第三者的な立場で楽しんでいる僕がいる。


僕自身の行動さえ『興』としてしまえる。


カタンッ…


ドアの向こう側から音がした。


あぁ、またか…。


うざったい。


決してドアを開けようとはしない。


しないけれども、毎日来てはドアの前に赤い花を一輪花瓶にさして置いていくのだ。


どういうつもりだ。


何のためにこんな事をする?


いつでも駆けつけられる程、監視下にあるという威圧なのか。


花瓶に囲われ無ければ生きられない切り花を使って、ここから出られないというメッセージを伝えたいのか?


だとしたら悪質だ。


そんなもの、もうすでに思い知っている。


犯人の目安はとっくについていた。


決して部屋の中には入らず、臆病にこんなにもコソコソと動くのはあの黒崎の妹に他ならない。


傀儡の様に言いなりで、自分の意思を持たない、憐れな人形の彼女。


花を置いていく行為も黒崎に命じられたのだろう。





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