この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
胡蝶の夢
第6章  腐蝕 






無言の彼女にイライラする。


扉の向こう側の彼女を想像する度に奥歯に力がこもる。


努力せずとも誰かが自分を引き立ててくれる。


そう思っているのだろうか?


まるで僕の妹の様に…。


女ということもあってか、父は妹にだけは甘かった。


でれりと腑抜けた横顔によく愕然としたものだ。


まるで同じ者とは思えない。


僕たちに向けられていた冷めた様な厳しい眼差しはドロリと蕩け、引き結ばれていた口は緩み、寒気さえ感じる優しい声色で囁く。


あまりの扱いの差に辟易としたものだった。


必死に自己主張する僕が何だか間抜けのようだ。


二人の兄と競い、父の目に留るためと努力したところで、なんの結果も得られなかった。


褒められるのはいつも二人の兄たち。


唯一自分に優れた音楽を極めても、父にとってそれは価値の無いものであった様だ。


ただ一言。


寒い冬のある日、僕の演奏を聴いて父が洩らした「素晴らしい」の一言。


それだけを頼りにピアノを頑張ったところで、結果今のこのざまだ。


僕の主張は父には届かず、兄よりも妹よりも不必要だった僕はその存在を消された。


人の価値の無い奴隷として。






.
/168ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ