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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法


「……早く、泣くか喚くか」


 美影が囁く程度に耳打ちして、両手に張った革鞭を、彩月のうなじに回した。首輪よろしく喉元で交差したそれは、次の瞬間、宙で華麗な線を描く。


ひゅん…………


ビシィィィッッ…………


 風を切る小気味良い音を連れた革鞭が、彩月の肌に直撃した。
 数回に亘って腕や太ももに戯れた叱咤は、おそらく使い手の狙いを外していない。初めはかたちばかりだったのが、徐々に威力を増していく。それは、完膚なきまでの覊束に囚われた彩月の身体が撓るくらいの衝撃をもたらす。


パシッ…………

ぴゅっ……ビシィィィッッ…………


「くぁっ……ぅ"っ……──あア"ァ"ッッ……!!」


 鞭は彩月の肩を打ち、尻を歪めて、脚と脚の間を嬲る。内股を撫でたかと思えば次には生々しい音を生んで、くすぐりと殴打を交互に行う。浮かんだばかりのミミズ腫れが色を強めて、乳房や肩に亀裂が走った。

 美影は獲物を愛でる演技も抜かりない。今しがた彩月の乳房に振り下ろしたばかりの革鞭で、膨らみごと締め上げた。鉛錘が揺れる。彼女の愛撫が鞭をはみ出た肉を撫でて、唇が啄む。


「彩月はこういう方が好きなのに、小松原さんは面倒なことにハマっちゃったね」

「んっ……はっ、美影、エロい……」

「もっとエロいのはどっちだよ」


 鞭の握り手が彩月の頬を遊ぶ。美影の指が、脚と脚の間をいじる。這い出す潤みをくちゅくちゅと指の腹が弾いては、緩慢に弧を描く彼女の愛撫が、その出どころや陰核を掠る。


 追うようにして生じる痛みが、新たな疼きとせめぎ合う。

 しかし世間が正常と見なすものを退屈がる佳子の性的嗜好は、彼女をくたびれさせていた。
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