この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法


「お疲れ様。理良ちゃん、このあと予定ある?」

「あ、志乃さん……。いいえ」

「じゃあ、休んでいって。見ての通り姪は引きこもりで、話し相手してくれたら嬉しいな……なんて」


 志乃の強引な誘いにも、理良は遠慮がちに謝意を述べた。

 あさひと志乃、そして理良の三人で、日の沈んだ空の覗いた窓を脇に、テーブルを囲う。

 本当に今、目を覚まして起きているのか疑るほど静かな空間の真ん中に、今しがたの甘く香ばしい匂いの出どころ──…練乳風味のクリームを挟んだスコーンが、盛りつけてあった。


「いただきます。……んっ!美味しいです。志乃さんの手作りですか?」

「うん。お口に合って良かったよ」

「本当に有り難うございます。甘いの大好きです。それに紅茶もお菓子に合ってて、ほっとします」

「褒められちゃった、嬉しいな。でも、これで勇気出して引き止めたんだし、本当に都合悪くなったら言ってね。家の方とか」

「お気遣い恐縮です。ウチの親は、そんなに厳しくないので大丈夫です」


 志乃が理良に少しでも肩の力を抜かせようとして、気を遣って話しているのは、あさひから見ても明白だ。
 聡明で、礼儀正しい。絵に描いたような優等生である理良は、それを全く鼻にかけず、志乃と打ち解ければ打ち解けるほど、くるくると表情を変えて、口数も増やす。
 彼女が学校でのエピソードを話した時、つと、あさひに圭の顔が浮かんだ。かつて在学していた高校でも親しい同級生のいなかったあさひは、二歳上の彼女と出逢ったあの日、同世代の少女と親しくする楽しみを知った。彼女に教えられて、初めてパンケーキを口にしたのも、もう随分と遠い日のことに思う。
/372ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ