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秘匿の闇市〜Midnight〜
第8章 愛され少女の教育法


「もう満足なんだ、あさひ。こんなに好きって言われたこと、なかったから……あたし」

「彩月さん……そんな、まさか……」

「本当だよ。そんなあさひを縛れ、なんて、不幸になれって言われてるのと同じことで。それは、陽音さんに言われ続けてたことが実現してしまうのと同じことで」

「…………」

「それにあたしなら、昔さんざん泣いたから。泣き疲れて、今はほとんど感じない。痛みも」

「違……でも、私は……」


 彩月はあさひの前ボタンを閉めて、紙袋からコートを探した。持ち上げるだけで肩が凝る。フリルの量に見合う重みのあるそれを、あさひに羽織らせる。

 不安げに彩月を見る目に背を向けて、佳子に向き直る。

 彩月はニードルを握ったまま、自身の部屋着のボタンを外す。


「小松原さんを少しも愛していなければ、あさひは確実に連れて、一緒にあたしもここを出ていました」

「…………」


 佳子が彩月に握らせたニードルは、三つある。被虐の記憶に苦艱している女の発想とは思い難い。

 彩月が促すと、佳子が愛撫を施した。

 いくら性交しても消耗しない、却って肉体を使っていなければ不安に引き裂かれそうになる彩月は、後方にあさひがいるのを分かっていても、佳子の指で生理現象が現れるのは早かった。固く尖った乳房の頂をニードルで貫く。ただずきりとしただけだ。血がぬるぬると這い出して、煩わしい。
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