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第4章 第一話【空の記憶】～真実～　

　それに、家に戻れば、幸は来年の春には女学校を卒業し、遠からず婚約者の進一郎と結婚し、彼の妻となる運命が約束されている。穏やかで温厚な進一郎は伴侶としては申し分のない、理想的な男だが、亮平という男を知った今、進一郎への想いがあくまでも兄に対するような淡い思慕であることに幸は図らずも気づいてしまった。
　進一郎は名門伯爵家の跡取りだ。社会的地位も名声もある。彼と結婚すれば、幸は伯爵夫人として何不自由のない日々を過ごせるはずだ。