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第8章 第三話【波の音】　予感　

　浩三は見かけはとりとめもなく見えるが、学問に対しては真摯な姿勢を見せ、また心配りもできる男であった。お喋りがすぎるほどよく話し、明るく屈託がない。幸と浩三が愛し合うようになるのに時間はかからず、やがて幸は浩三から求愛(プロポーズ)を受け快諾した。そんなある日、産み月も間近になった幸の前に亮平が現れ、幸にやり直そうと告げるが、幸は静かに首を振った。かつて愛した男との真の別離に心は沈みながらも、幸は改めて浩三と生きてゆくことを決意する。