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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第8章 第三話【波の音】 予感
「逃げようたって、そうはさせない。もし、万が一、隙を見て逃げようなんてしてみろ。お前のその白い身体を滅多斬りにしてやる。どうせ端からこっちは生命がけなんだ。今更、怖いものなんてありゃしねえし、お前と黄泉路を道行きといけるなら、願ったり叶ったりだ」
荒々しく扉が閉まり、馬車がスピードを上げて動き出す。弾みで身体が前方へつんのめりそうになるのに耐え、幸はへなへなと椅子に崩折れ、愕然として両手で顔を覆った。