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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第9章 第三話【波の音】 絶望の果て 
 蒼ざめた静寂の中で、幸の泣き声は次第に小さくなり、やがて彼女は泣き止んだ。
 いつしか外には雨が降っていた。垂れ込めていた雲間から落ちてきた滴雫は、すぐに本格的な雨になる。亮平の家の庭に咲く紫陽花も雨に濡れ始めた。紫陽花は雨に打たれ、その色を少しずつ深めてゆく。まるで、二人のいる空間を満たす静寂のような、小さな家の前にひろがる海のような、深い深い蒼色に染め上げられてゆくのだ。
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